イカ、すげぇええええええええwwwww!!!
「イカの心を探る」(池田譲)を読んだ。まずひとこと、読んで、よかった!そして…
著者は琉球大学に勤める頭足類の社会性コミュニケーションを研究している学者さん。
全体が柔らかでユーモアある口調で語られ、初学者にも優しくついていけるように誠実に話を進めていくので大変に読みやすかった。筆者の人柄が伝わってくる。
数々の水産現場で学んだ経験がイカのコミュニケーションに行き着くのは、点が線になるスティーブ・ジョブズの話を思い出した。
イカって、身近な面、食べるということしか、概念になかった。
いわれてみれば、たしかに、え!?まじで!?イカにも心があるの!?という驚きからこの本を読んでみようと思ったわけだ。イカにも心があれば、犬や猫、鳥や虫、にまで心を拡張できるw
お急ぎの方は第四章だけでもぜひ読んでもらいたい。
では、以下、イカ・ダイジェスト。
イカの寿命は1年で、日本の北と南を日本海、太平洋とわず行ったり来たり回遊する。
体長は子どもの頃は1ミリだったのが、一年後には30センチにもなる。人間にたとえるなら、産まれたときが50センチで、その300倍だから、150メートル!ケルン大聖堂夫同じくらいだw
そして、また飼うのが極めて難しいのには驚いた。ストレスにめっぽう弱く、水質がちょっとでも悪いと半日で死ぬ。逆に同じ頭足類のタコはかなり飼育が楽で、メスで少しくらい切除しても余裕のよっちゃんいか!
驚いたのは、この海洋資源帝国日本においていまだなお養殖できないミステリアスな水産物であることだ。
一杯200円くらいのイカも養殖すると、一杯3万円くらいになるから、コスパが合わず採算も取れない。
また飼育時にも、はじめは1匹ずつ丁寧に餌付けしないと食べずに餓死w。無理に食べさせようとすれば墨を吐いて、水質悪化で死亡w←おまえはマンボウかw
ぼちゃんと餌の魚肉ソーセージを水中に入れてもガンシカ(ナンパ用語でいうところのガン無視、ガンシカト)、だが、しかし、ひとつの個体が食べ始めると、それを見ていた回り、食べ出す←これ実はめちゃすごいこと。あとで説明するね。
イカは餌をあげすぎても残して水質悪くなるわ、あげなさ過ぎると共食いするわで、ほんと飼育が大変で著者の苦労がまじまじと伝わってくる。
イカの体重と脳の比率は、脊椎動物並みで、身体に占める脳の割合が無脊椎動物で最強なのには驚いた。
また眼球も人間の構造に似ていて、おそらく人間の視力0.6くらいな人のように世界を眺めている。
また、イカの生態を紹介するうえでの、ゴキブリホットプレート実験は、ぞくぞくわくわくさせられた。
ゴキブリホットプレート実験とは、ゴキブリをホットプレートの上に載せ、一カ所だけ熱くない部分を作っておくと、ゴキブリはホットプレートの上を爆速で所狭しと走り回った後、その場所を見つけ、そこに居続けるというものだ。
これは有名だろう。動物奇想天外とか、世界丸見えで何度も見た記憶がある。雄とメスに挟まれたイカが色を変えるというもの。雄に向かった片方の皮膚では威嚇色、もう片方のメスに向かった方の皮膚では求愛色を器用に使い分ける。
また、タコはイカとは異なりコミュ障だといのも面白い。ひきこもりは、たこつぼに似ているからことばの由来はどこかで繋がっていて面白い。
イカはタコと異なり、みな意識高い系感がある。基本的にイカはコミュニケーションを行う種だというのには驚いた。イカは、単にすし三昧や、佐渡島の一夜干しされるだけではどうやらないらしい。イカ社会には人間と同じく、序列がある。身体のサイズだけでなく、社交スキルもあいなって、偉い、偉くないが決まるのだ。他者との関係性を多数有するイカのランクが高いのは、人間と同じだ。顔が広い人は社会の中においてもVIP扱いだ。
またイカを隔離して育てるよりも、同じ種での仲間に囲まれて育てた方が、餌もいっぱい食べて身体のサイズも大きくなる。
蛭は活発に餌をとったり回遊したりしても、夜はなななんと!仲のいい仲間と近くに寄り添い眠る。人間と同じで、お気にいりな友達には心を許して、安心して寝床を共にするのである。
イカ、どこまでも人間臭い。イカ臭いw
イカには記憶システムがある。イカには産まれたときから短期記憶があり、学習をする。長期記憶ができるようになるには生後30日後からだ。
これもまったく人間的だ。人間もあかちゃんははじめ因果律で学習ができない。長期記憶がないのだから当たり前だのクラッカー(たとえが古くてほんとすみません。下動画、45秒より)
またイカは幼少教育が鍵にもなる。イカは、ほんとうにもう、人だ。いや、もうここまで来たら、人がイカだ。
イカの餌にコペポーダとアルテミアというプランクトンがいる。前者のコペポーダは動きが素早く、後者のアルテミアは動きがのろい。そのため、コペポーダは捕獲することが難しい。子どもの頃からコペポーダを食べていたイカは大人になっても、コペポーダをとれるが、その反面、幼いことに動きの鈍いアルテミアばかり食べていたイカは、大人になって、餌がコペポーダだけしかいない環境におかれると捕まえることができず餓死をしてしまう。
イカの学習の臨界期は2週間といわれ、まさに捕獲のお稽古はこの時期にみっちり叩き込まないとならない。人間にも同じことが言えて、真のヴァイリンガルになるには、この臨界期に言語をマスターしなければならない。
また、ハチのように目標物を認識し道順を覚えるたり、目的物を理解して自身の位置を把握することもできれば
丸や三角、四角も弁別(違いを違いとして認識する)することもできる。これはイカだけでなく、タコもできる。
また、ここからさらに凄いのは、チンパンジーですらできない、模倣をイカもタコも行えることだ。隣のタコが、赤いボールを襲撃すれば、とりあえず、真似してそれを見た仲間も赤いボールを襲撃する。これはすごい!知性のなせる技だという!ひょっとしたら、最近のYoutuberよりもイカやタコの方が知性があるのかもしれないw
マークテストとは、自分がじぶんであることを認識しているかどうかを試すテストである。顔に赤いシールや模様を描いて、鏡を見せてそれを取ることができたら合格というものだ。人間以外ではチンパンジーやオランウータン、象さん。バンドウイルカやカササギwくらいしかクリアできないという。以外にもゴリラはこのテストをクリアしないのだ。(とはいえ、このテストは反論も多い。たとえば、アカゲザルなんかは、このテストをクリアしないが、実験車が鏡を遊び道具として、サルの飼育施設にいれておいたところ、頭にマウント(実験時に効率がいいように頭に計測の電極を埋め込やすくする装置)をつけられたアカゲサルが、鏡の前でマウントを触る仕草や、また、これは笑ったが、キン○マの裏っかわを鏡で見て確認していたという。)
イカのマークテストに話を移そう。イカは触手でマークを取るというようなことはできないため、イカにはイカ独自の判定基準が必要で、筆者がその基準をもうける。イカの鏡滞在時間をひとつの目安にイカ独自のマークテストを考えつくのがうならされるくらいに実にクリエイティブだ。両目の間に麻酔(付けられたことが気付かれないように)をかけられてるうちに色を付けられたイカは、ふだん鏡の前で滞在するよりも長く滞在することがわかった。また、これもうならされるぐらいに巧いのだが、今度は、顔面の前でなく、身体の横に色を付けるとどうなるか実験を行った。結果、今度はイカは、自分の身体の横の染料が見られる位置に身体を鏡に対して斜めに移動させ鏡を見たのだ。
また、顔履歴の話。イカとイカの間に透明な壁を一カ所だけつくり、そこに行ったときだけ隣のゲージのイカをみることができるような環境にしてみると、イカははじめの頃は興味しんしん丸でそこに赴き、隣のイカを見まくるが、飽きがくると、また自分のゲージ内をぷらぷらと漂う。ここで、一旦、間に幕をかけ、イカから見えないように、隣のイカを変えて新しい友だちを入れると、さて、どうなるか?
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結果、飽きていたはずのイカは、またその場所に赴き、またじーっと新しいともだちイカを見続けたのだ。しかも、はじめの友だちよりも長く飽きずに見る。面白いのは、はじめの友だちは、実は、昔、水槽の中で同じだった仲間で、あ、あいつか、って態度で4日くらいは興味を持っていた。だが、後半のともだちは“初顔”で、10日以上、新顔に、あいつは誰だ?的なスタンスで興味を持ち続けた。
そうなのだ!つまり、人間から見ればまったく、わからない没個性的なイカの顔をイカはイカ同士で認識し合っているということだwwwこれは、まぁ、猿も同じでサルはサル同士個体を認識しあっているわけだから、種族が異なれば顔の個性は見分けがつかなくなるのも理解できる。専門家は研究対象の個体に名前をつけて弁別することができるが、それができるのは、個体への愛着に裏付けられた入念な観察ができる技だろう。
たしかに言われてみれば、自分も昔は黒人や中国人、韓国人の顔がみんな同じに見えたし、自分も欧米から見れば日本人の同質な顔立ちでイカのように思われていたのかもしれないw
イカ一匹(一杯)を一ヶ月(人間でいうなら、だいたい8年くらい)(餌と新鮮な水環境)間、隔離し、その後に鏡を見せるというものだ。
本来社交的なイカを、一ヶ月、友人たちから隔離し、離す。そして、そのイカに、一ヶ月後、鏡を見せると…
ゆっくりと、鏡に近づき、鏡を見据え、ホバーする。何することもなく漂い。漂い。
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その直後に…
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これには、大いに驚いたw正直、イカには悪いが笑ってしまった。ものすごくゾクゾクワクワクしてしまった。一応、著者は再現実験をしたが、今度はやはり、死ななかった(衝撃に個体差あり)ものの、ホバーすることに変わりはなかった。通常、鏡を見せられたイカは、触手を伸ばし、ぺたぺた触れるか、鏡の前を泳ぐのだが、隔離を行うとその反応がホバーに変わる、ことは間違いない。
先の確認になるが、結局、イカにも幼児教育は必要だw。ラットと同じように仲間がいて、遊具があって、健康で“文化的な”環境であれば、それだけ、脳のネットワークが豊かなる。砂に潜って隠れることのできるイカは、潜れる環境の砂がないと潜るのが下手になったりする。他にも様々な実験が上げられているがここでは割愛しよう。
☆終章 イカの素顔を探る
系統樹を考える。イカが人間と別れたのは、遥か昔、哺乳類以前の頃からだ。しかし、それでもなお、イカは人間のような知性を持った。イルカもそう。地上でなく、水中を選んだ。象も。カササギも。これを平行進化という。著者は、幼い頃の遠足に見た、雲中に連なる峰の頂に平行進化の不思議を垣間みた。
読了後の感想。こっからはおいらはドラマーやくざなドラマーの意見。
イルカを俺らはふつうに喰う。イルカは食べる人もいるが、食べない人の方が多い。クジラもそうだ。イルカもクジラも知性があるから食べるなと人は言う。ならば、イカも食べるな、というのが筋というものだ。知性があることが食べない理由ならば、知性の定義をしなければならない。だが、知性の定義をしたところで、今度は希少価値などの外的な要因も加味しなければならないから、究極的には結局、人間の、声の大きい、暴力機構を有した人間の論理が幅を利かせることになる。
俺は、どうか、もし、イカに知性が認められても、おそらく喰う時は喰うと思う。完全に言語を話せたら、その場合は食べないかもしれないが、人間の知性に沿った形での対話ができればすこしためらうかもしれない。今時分、今日日、イカに知性があることをしったわけだが、それでもすし三昧ではイカを注文するだろう。おそらく、こいつ、知性あるんだよな、と思いながら、口の中でとろけるイカの舌触りを堪能することだろう。
ここで、普遍的な結論を導き出すことはできない。個人的な答えを出すまでだ。結論から言って、俺は俺の好きなものを自覚的に喰うまでだ。他者を自覚して蹴落とし、適応する。場合に寄っては喰って、喰われるのだろう。それが、業の螺旋に生まれついたものの宿命なのだから、この連鎖からは外れることはできないのだ。外れることはできないけれども、その連鎖に“ゆる”く繋がることはできる。則天去私で、ただ、イカのようにホバリングするまでだ。己の罪の意識を自覚したアイヒマンでありたい。
一ノ瀬健太
①イカには知性がある
②イカはYoutuberよりも賢いw
③業の肯定。人は人を喰わねば生きていけない。
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