テアイテトス/田中美知太郎/岩波文庫/2014年
知とは何か?古代ギリシアの暇人たちによって交わされた超暇人な2chトーク。やはり、暇でなければ学問はできませんね!
テアイテトスとは、本編にてソクラテスとワーワー議論する若者のことです。プラトン対話編とは、ソクラテスのぶっちゃけトークをプラトンが記録したログであり、スレです。「パイドン」や他の「パイドロス」も皆ソクラテスの弟子だったり、友だちだったりといった関係者の名前なんですね。名前が一冊の本のタイトルになってるわけです。
今でいうなら、「タカシ」や「ヒロシ」という感じですw
さて、ここでのソクラテスのスレで語られるのは、知、知識、真実とは何か?という議論です。これは認識論という哲学の分野の領域になります。認識論とは、以下を参照のこと…
認識論で扱われる問いには次のようなものがある。
・人はどのようにして物事を正しく知ることができるのか。
・人はどのようにして物事について誤った考え方を抱くのか。
・ある考え方が正しいかどうかを確かめる方法があるか。
・人間にとって不可知の領域はあるか。あるとしたら、どのような形で存在するのか。
(Wikipedia「認識論」より、2016/9/11付)
以下は、倫理の教科書などで語られるソクラテスの有名単語を語っている場面です。教科書に書かれていることを実際に岩波文庫や原書で確認することって滅多にないですよね。このようにして学問のオリジナルソースにアクセスするということはとても大事なことだと思います。
今も原発や歴史修正主義問題など反知性主義が社会問題になっていますが、双方にとっての真実(=知識)は互いに無知の知を自覚することから合意は可能である、と私は考えております。その合意の形成のために、民主主義が誕生したギリシアの古典に立ち還って今を照射しようと研究をしています。グレイサーが語った「良き市民」のために市民リテラシーの向上に貢献できるよう研究に励んでおります。
pp.38~39. 無知の知
p.56. タウマゼイン
pp.62~63. 産婆術
pp.112~115. 相対主義
pp.162~163. 目と耳で聞くのではない。心(=魂)で聞くのである。
p.174. 知識とは?
pp.222~224. 現代に等しい反知性主義の問題をすでに抱えている。
pp.252~253. 言葉で知識をとらえること。全→一、一→全(詳細に)
pp.260~267. 弁論術と無知の知の本質・まとめ