Renaissance Man

とにかく、あれこれやってみる。

スンゲェ介護映画・吉田重喜『人間の約束』(1987)


スンゲェ介護映画を見た。。。

吉田重喜『人間の約束』(1987)。

 

何度も言う。すごい映画だ。人間のすべてが描かれている。セゾンの文化活動は本当にすごい。

 

介護・認知症が必要な老夫婦が家庭を美しく壊していく様が描かれる。ボケながらも早く死なせてくれ、という祖母を幾たびも殺そうとする祖父。しかし、殺せない状況が続き…

嫁が駄々をこねる認知症の進んだ祖母をお風呂に入れた際に、祖母がそのまま、湯船に沈んでいくのを、ボーッと見つめ、そのまま放置しつつも、はっと我に気づき、おじいちゃんを呼ぶシーン。

完全にからっからに枯れてしまったおばあちゃんが化粧をして、いまだに女を捨てていない色気のあるシーンが描かれる。

尊属殺人は死刑に相当するも嘱託殺人の場合、情状酌量で執行猶予がつく方の矛盾。

これまたシビレルのが、これが終戦までに成人を育てている夫婦という設定だ!1987年に上映ということを考えると、1900年頃に生まれた夫婦が子をもうけ、そして、子どもふたりを戦争で失っているという点。というか、今のテレビ出ている人たちの戦争経験世代を田原総一郎さんだとかで思い込んでいると、時代感覚を外してしまう。田原総一郎さんが鼻水を垂らしているときに、成人を育て戦争に送った人たちの1987年の姿を描いているのだ。

戦争で子どもを失い、認知症になり、糞尿に塗れ…と生老病死を”フン”ダンに盛り込んだ人間の悲しさが超絶技巧的に表現されている!!!!!!!!

そして、介護で妻が死ぬほど大変な中で浮気する夫。これ、介護とかめちゃしんどいから、男の部分を取り戻そうとしていることばにならない男の事情が描かれ、ものすごく共感できる内容に、このくっそ忙しい時期に、終始悶絶しながら見てしまいました。アホですね😅

老老介護問題、認知症を今から30年前に描いていたのにもかかわらず、日本国は国として、まだまだ問題を放置してきている感があります。

介護疲れで家庭が崩壊していく中、子役の杉本哲太が、認知症になった人間は動物であり、国家がまとめて管理したほうがいい、という”正論”を吐きます。しかし、父は、人間は言ってはならない言葉がある!として子を殴るシーンがあります。本音と建前、そして、動かぬ現実と考えさせられました。やはり、介護する・側される側の双方の人権を経済的なパワーいかんにかかわらず普遍的に守るためにも税金をどんどん投入しよう!と思わせられました。今も介護でしんどい思いをしている人はたくさんいると思います。

税制、ベーシックインカム、老人介護ホームなど諸々今を改めて考えさせてくれるクッソ忙しい師走にことふさわしい最高の映画です!

これを見て、帰省して、家族の愛を深めましょう❤️

===
気づいたことメモ

佐藤浩市、杉本哲太がめちゃ若い!
自分で先祖の墓の横に穴を掘り、死のうとするシーン
三途の河を渡る時の衣装が、今ならモンブランやパタゴニアになるのかな?と思ったり思わなかったり。衣装も近代化したほうがいいよね?的な。
老夫婦の愛のあるシーンってなんか素敵。
夫の浮気シーンで、ランジェリーのままシャワーを浴びた愛人のエロさ

詠める、

激動の
時代駆け抜け
糞まみれ

産んだ子に
疎まれ死セリ
雨の夜

モンブラン
三途の皮の
旅支度

ゴルフ行く
妻にバレてる
浮気かな

男ゆえ
介護疲れて
浮気かな

介護果て
握るハンドル
手を重ね

#億葉集 #人間の約束 #吉田重喜 #セゾン

Culture You!あ~、世界ってほんと美(たの)しい







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