Renaissance Man

とにかく、あれこれやってみる。

寅さんと知的障害者のヒロイン


寅さん投稿ばかりですみません。
今、私の周りで密かなブームになってます。つくづく自分のインフルエンサー力にビビっております。
コロナフルエンサーにはならないよう気を付けております。
さて、寅さんの社会学的側面からのレポートです。
まず本回の冒頭。語られるのは集団就職のシーンです。高校でたて、または中学校を卒業したてとすら思われる年端の行かない青少年たちが寅さんと会話するシーンです。東京のおもちゃ工場で働くという芋くさい少女の表情がなんとも健気です。
両親も、本当は東京に送りたくいないんだよ、親を恨むんじゃぁないよ。当時の東北貧困具合が画面からひしひしと伝わってきます。
また本回で描かれるのが、”足りない”と言われる少女がヒロイン。人手不足のためある程度、ダメでも東京に仕送り要員として送られ、そこから脱走したといいます。そのうち悪い男に騙されてキャバレーやストリップで働かせられるようになるんだろう、誰かが寅さんに語りました。そう言われては関わらないではいられない寅さん。さすがです。
本作は、軽度の知的個性を持った少女がヒロインとして描かれています。目をグッと見ればわかる。ちょっと頭がおかしいのが。と寅さんがいうシーンは今のテレビではまずみることができないだろうな、と思います。
今とは全く異なる当時の考え方が描かれていて大変興味深いです。
例の如く語られる寅さんのお嫁さん探し。変わっている寅さんには、手足が2~3本足りないくらいな嫁さんがちょうどいい、など家族もズケズケものをいいます。建前だらけの世の中だからこそ、新鮮でタブーな印象を受けました。しかし、まったくひどい感じもしないのです。
興味深かったシーンは、警官が自腹か何かで青森発の終電へ女の子を載せてあげようとするシーンです。この頃の郵便局員や警官といった公務員はどこか牧歌的で親しみやすさを感じさせます。民営化前でしたからかなり、のんびり過ごすことができていたのかもしれません。思いやりありきの下町の口の悪い人たちの会話。落語なんでしょうね。業の肯定が根っこにあるから、ある程度の差別発言も許容されていたのかもしれませんし、この時は炎上という概念もなかったのですね〜。
そして、田中邦衛、油断していると昭和、平成の大スターが画面に見切れてきます。樹木希林さんもそうでしたが、おぉ!歴戦の銀幕のスターも下積みがあって、大スターになっていくんだなぁ、と実感させられます。
詠める、
ーーー
油断していると
横から
田中邦衛

 

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